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第3回「おてつだい」開催報告(低学年チーム)



第3回 こてつ(子どものための哲学対話)

低学年グループ 対話内容のまとめ

日時:2017年7月30日(日)9:50頃~(45分)
テーマ:「おてつだい」
ファシリテーター:重巣、塚本
記録者:重巣
※内容を一部省略・編集しています。



今日はテーマに添って多方面からたくさん質問しようと試みます。
どれかにヒットして子ども同士の対話が始まることを期待して。

ファ:どんなお手伝いしてるの?
・掃除
・食器洗い
・洗濯ものたたみ…
など一般的な家事が挙がります。

ファ:みんな、なんでお手伝いするのかな?
「おうちの人のため」
「困っている人のための募金と自分のお小遣いを増やすため」

ファ:お手伝いするとお金がもらえるの?
   他にはお金もらえる人いる?
10人中3人の手が上がりました。お駄賃がつく場合も多いようです。

ファ:お金をもらっていない人はなんのためにお手伝いしてるの?
「おうちの人のため」
「お母さんだけだと家事が大変だから」
「優しい人でいたいから」

ファ:お手伝い嫌だなぁ~って人はいる?
なんと! 手が上がりません…。
お手伝いが億劫で仕方なかった自分はだんだんソワソワしてきます。

ファ:お父さんやお母さんから「お手伝いしなさい」って言われる人はいる?
「たまに言われる」
という子がほとんど。

ファ:お手伝いしたあとってどんな気持ち?
「心が落ち着く。汚いと落ち着かない(←掃除のことかな)」
「落ち着かないけどな。
 だってお小遣い、あとでしかもらえないから。あはは…」

これを聞いてようやく落ち着くファシリ。

ファ:おうち以外でお手伝いしたことある人は?
「おばあちゃんのおうちで」
「学童で(先生に言われて)やる」
「おじいちゃんの病院で車椅子を押したりする」
「おばあちゃんのおうちとか学校」
「知り合いのお店」

ファ:お手伝いをあまりやっていないって言ってた男の子たちは、普段「お手伝い」って言葉は浮かばない?
「(親が)忙しそうだな~ってときは浮かぶ」

ファ:浮かんだあとはする?
「暇だったらする。」

ファ:なにで忙しいの?
「うーん、うーん…。一日一回くらいならやってもいいかな」
何かを見つけたくて突っ込んで質問してみたけど、攻められているように感じちゃったかな。

ファ:お手伝いってどうしてするのかなぁ。みんなで考えてみようか。
「人のために思う気持ちとか。」
「お手伝いをしないでおうちの人だけに任せてると自分が大きくなったときに困ったりするから。」
「お手伝いしてお金がたくさん貯まったら世界旅行とか、世界で困っている人のために世界に飛び立つとか。」

ちょっといじわるな質問を。
ファ:お金をもらえなくても今くらいお手伝いする?
「うん。おうちの人のためになるなら。」

ファ:お金をもらえたら今よりお手伝いするかもって人は?
手を上げたのはファシリ2人だけ…。

一方子どもたちは、 「お金は関係ない」
撃沈・・・



ファ:お金がもらえること以外にお手伝いすると何かいいことある?
「優しい気持ち、嬉しい気持ちになる」
「最後にありがとうって言われると暖かい気持ちになる」
「楽しい」

ファ:なんで楽しいんだろ。どんなお手伝いのとき楽しいと思う?
「お皿洗い」
詳細は聞けませんでした。汚れが落ちるのが気持ちいいとかでしょうか。
どうにかして黒いところを覗いてみたい。

ファ:こんなお手伝いはやりたくなかったー、これは大変だった、疲れたーってのはある?
「ない」
「たまーに」
え?ほんと?あるでしょ?大変なの

ファ:お手伝いしなさいって言われたけど『今日は疲れてやる気しない』ってなるときある?
「疲れててもやる」

ファ:僕はよくねー、『なるべく仕事に行きたくないな』って思うことがあるよ。
「え?なんで?」

ファ:仕事やってて楽しいなとか、みんなと同じようにお手伝いして人の役に立てて嬉しいなって気持ちになるときもあるんだけど、『今日は無理だわ~っ』て思ったり『今日は嘘付いてでも休みたいな』ってときがあるんだけどな。
応戦。

ファ:私は洗濯物をたたむのが苦手。すっごい疲れる。
「私はベッドメイキングが苦手なんだけど、お金をかけて学校に行かせてくれてるから、そのためにもお手伝いたくさんやらなきゃって思う。」

ファ:今はみんながお手伝いするって話をしたけど、お手伝いしてもらったことある人は?
「自分ができなかったときにお母さんがやってくれる」
「ご飯を作るのも将来は自分でやることだからそれも『お手伝いしてもらってる』ことじゃないかな。」

ファ:自分の身の回りのこと全てが、親にやってもらったらお手伝いって感じなんだね。うんうん。
ファ:今やっていない子で、こんなお手伝いだったらやってもいいのに~みたいなのはある?
(あがらない)
ファ:ドラゴンクエストイレブンが昨日発売されたんだけど、うまくできない弟のためにお兄ちゃんがやっといてあげるよ!っていうお手伝いならやってもいいな。
「ゲームなんかやらない」
「自分には弟いないけど、いたらお世話をしたいな」
「ご飯作るのをやってみたいけど、火を使うからダメっていつも言われちゃう」
子どもゆえの制限はありますよね。
「大きくなったら困っている人を助けたい。車椅子を押してあげたり。今は電車で席を譲るとかしてる。そのときに『ありがとう』って言われたから心があたたかくなった。」

ファ:友だちの何かを手伝ってあげたことはある?
「友だちの家がチョークの落書きで汚れていたから一緒に水拭きしてあげた。」
「お友達が転んで泣いていたから助けてあげた。」

ファ:そんなとき友だちは怒る?
「怒らない。ありがとうって言われる。」

ファ:お手伝いしたときに、相手が怒ったらどうする?
「え?!そんなことあるわけないよ」

ファ:もし怒ったらどうする?次からそのお手伝いする?
「しない。もしするなら相手に聞いてからする。」

ファ:お手伝いしたあと相手はいつもどんな感じなの?
「ありがとうって言う」
「笑ってる」
「嬉しい気持ちになる」

ファ:そうじゃないパターンはある?
「ない」
「ありえない」
「怒ることなんてあるの?」

ファ:ないとも言えないねぇ
ファ:ぼくはあるよ。息子(小学3年生男子)が宿題してていつまでも悩んでたから
   教えてあげたの。そしたら「今考えようと思ってたの~!」って泣いて怒られた。
   僕は彼を手伝ってあげようと思ったのに余計なことしないでって怒られた。
   そういうのない?
「言ったことならある」

ファ:お手伝いをすると「ありがとう」と言ってもらったり喜ばれたりするよね。
   お手伝いは頭使ったり身体使ったりして疲れることもあるけど、お礼を言ってもらえるとその疲れが少し軽くなるよね。
「ちょっとじゃなくて全部吹っ飛ぶ。」

ファ:相手が「ありがとう」もニコニコもしない人だったらどう?
「吹っ飛ばない」
「やってよかったのかなって不安になっちゃう」
「パパが宿題教えてきて、私が分からなくて態度悪くしてたら『教えてやってんだから感謝くらいしなさい!』って怒られた。」

ファ:お手伝いしようとしてくれた人が怒ったの?!
   なんでだろ~?
   お手伝い(しようと)した人がそれを拒否されたときに怒るっていうのはどうなのかな?
「いやな気持になる」
「やってよかったのかなって不安な気持ちになる」

ファ:次からちょっと考えちゃうね
相手が望まないお手伝いについてもっと掘り下げたかったのですが、うまくできませんでした。

ファ:周りのみんながしていない珍しいお手伝いとかあるかな?
(挙がりません)

ファ:お母さんのお手伝いはいっぱい聞いたけどお父さんのお手伝いは聞いてないな。
「お父さんが会社におにぎりを持っていくからたまに作ってあげる」(←男子!)
「お父さんとお母さんにバレないように手紙や花束でサプライズしてあげた。ありがとうって言われた。」
「お父さんほとんど会社だしな~」
「日曜の夜にマッサージしてあげてる」
「マッサージしてる!」
「たまーにマッサージ」
「肩たたいたり足踏んだり」
マッサージはお手伝いとは別のカテゴリーに記憶されていたのかな?急にたくさん出てきました。

ファ:(お手伝いしないと言っていた男の子に)マッサージする?
「たまーに」

ファ:なんだお手伝いしてんじゃーん!(思わず背中をパン)

ファ:お父さんと言えばマッサージなんだね。
「おじいちゃんやおばあちゃんにもしてる。もっと上とか下とか言う。」
「お母さんにもやってる。お父さんがお母さんにやってあげると『痛い』ってなるけど私のはちょうどいいって。」

ファ:夏休みは普段よりお手伝い多い?
「多い」
「まだ夏休みに入ってちょっとしか経ってないけどこれからやると思う。」
「お手伝いするとポイントがもらえて最後までたまると100円もらえる。たまらなかったらもらえない。」
夏休み限りのポイント制とは面白いですね。

ファ:じゃあ、夏休みの最後になって、
   もうどう頑張ってもポイント貯まらないよーっていう状況になったらお手伝いする?
「うん、する。」
そうか。満点にならなくても関係ないんだね。

ファ:夏休みに学校の先生から「お手伝いしましょう」とか言われない?
「言われるよ。一年の夏休みのときそういう宿題出た。」
「私の学校は自分からしようって気持ちだから宿題に出ないんだと思う。」
「たまーに、宿題に『お手伝い』って書いてあるからお手伝いやる。」
「土日も宿題出るよ。」

ファ:そのときどんな気持ち?
「いつもやってないからやろうかなって気持ち。」
やってない子たちも頭の片隅では『やらないと』、『やるべきだ』など考えてるんでしょうね。

ファ:宿題になるってことは『お手伝い=やらないといけないこと』なのかな?
「やらなくてもいい」
「やらなくても怒られない」
という意見が小数。

ファ:他には『やらなくていい』って思ってる人は?
→ほぼいませんでした。

終了間際に発言していない子に聞いてみます。
ファ:◯◯ちゃん、お手伝いしたことはある?
「食器洗い。お父さんにやれって言われた。」
こういう意見ももっと引き出したかったな。難しいです><


ここでタイムアップ。
終了の鐘が鳴るとなぜか「イエーーーイ!」と喜ぶ男子たち。
45分は長いよね。場にいるだけでもすごい集中力だと思うよ。
打ち上げの数あるお菓子の中で注目株はオレオ。
だけど人数分ない。
そのことに真っ先に気づき落ち着きがなくなる男子。
お菓子タイムはいつも面白いです。

普段ぼんやりと考えていることを言葉にするのって大人でも難しいと思いますが、低学年の子たちが質問に答えようと一生懸命考えゆっくりと言葉を繋げていく姿は本当に愛らしいです。
質問→回答というサイクルからは抜け出せませんでしたが、「考える」という行為は充分にできたように感じます。
お手伝いをしない子たちの発言をもっと引き出すことができればさらに面白くなり、また子ども同士の対話も生まれたかもしれません。
『一般的に良い行い』の意見が多数だと、その逆の意見の子は発言しづらいようです。
多様性がある程度許容されることを知っている大人の場合は『良くない』意見も活発に出ますが、小学生、ましてや低学年だとそれはすごく勇気のいることなのかもしれません。
はみ出ることは怖いと思います。
この辺りをもっとかき回せるようにファシリも日々精進します。

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