Go To Montain

Go To Montain

第5回「かぞく」開催報告(子ども+大人)



第5回 こてつ(子どものための哲学対話)開催記録
日時:2017年8月26日(土)15:00~17:00
テーマ:「かぞく」
参加者:高学年4名+低学年6名+それぞれの保護者さん10名


今回は、大人と子どもの哲学対話、略して「おこてつ」を開催致しました。
せっかくですので、低学年チーム+高学年の同伴した大人、高学年チーム+低学年に同伴した大人の組み合わせで対話をしてみました。大人チームの方々も、参加した子ども達がいったい何を話しているのか?興味津々だった思います。「こてつの雰囲気を体験していただけたら」、そんな希望を持って おこてつをスタートさせました。

■みんなで問いを決めよう!
いつもと違った雰囲気の中開始です。いつもですとゴロゴロしている子もいますが、今日は少し大人しめです。簡単なアイスブレイク、今回は質問ゲームを行って雰囲気をほぐしていきます。みんなに質問して当ててもらうのは「昨晩食べたものは?」あっという間に当てられます。次は「ボクの嫌いな食べ物は?」これもあっさり当てられます。
続いて、今日の問いをみんなで決めます。
僕らが用意した問いを提案しつつ、参加者さんからも問いを募ります。
多数決の結果、参加者さんから提案を受けた問いに決まりました。

「他の子どもと自分の子、他の親と自分の親で、どうしてちがいがあるの??」

はい、尖ってます、さてさてどういった対話になるのでしょうか?

■高学年+低学年の保護者さんチームの対話「キーワードは敬語」

高学年チーム+低学年に同伴した大人の対話では、自分の親と他の大人との違いについて、敬語を軸に対話が重ねられました。
親には敬語は使わないといった意見が多い中、対話を重ねることにより、親にも敬語を使うことがあることに気づきました。
親に敬語を使うのは、「ムカついたとき」、「お願いするとき」、「謝るとき」など、日常の中でも少し特殊な場面で使うようです。
この場面に対して、大人チームから「裏がありそうで使って欲しくない」や「お願いするときは使って欲しい」といった発話がなされ、子どもチームからも「弟から、口をふいてってお願いされる時は、敬語使って欲しい」といった感想が出ました。着ているシャツで拭いてあげるには吹いてしましましたが(笑))
そして「そもそもなんで敬語を使わないといけないのか?」について対話が重ねられました。「常識だから使わない発想がない」と発話した子どもチームに対して「未就学児は使う発想がないよ」と大人チームから問いかけられ、いつ常識になるのか?と対話が重ねられました。
ここで、参加者から問いが投げかけられます。「家族と他人では距離感、安心感が違うのでものすごく怒れるのではないか?」、また「敬語は相手を大事にしたり、敬ったりする言葉、労っている言葉」といった発話がなされ対話は終盤戦となります。
これらの発話を受けて「大切に思っている時、大切な話しをする時は敬語になる」と子どもチームから発話されます。対話が続きます「真剣に話しをしたい時は敬語を使った方がいいと思う。」、大人チームも続きます「すてきな夫婦が使っている。適度な距離感。相手が他人であると分かっていること。どんな言葉で話してもいいが、相手を敬う事を忘れがち、他人であることを忘れないことは、家族の中でも大事では」。
ここで時間となりました。子どもチームから「今日は思ったより早いね、いつもより長いはずなのにね。」、楽しんくれたみたいで何よりです。

■低学年+高学年の保護者さんチームの対話「かぞく」ってだれのこと??

低学年+高学年に同伴した大人たちのチームでは、まず「敬語って知ってる?」って聞いてみました。
「よくわからない」、「知らない」…主題のキーワードがいきなり崩れます。
低学年の子どもたちが見聞きしている日常世界に「問い」を引き入れないと対話はなりたちませんね。
さっそく問いを変えてみます。「おじいちゃん、おばあちゃんは家族?」
「家族だと思う」、「一緒にすんでるから」、「一緒にすんでいなくてもお父さんやお母さんの親だからつながりがある」。

「それでは、おじさんやおばさんって家族??」
「お母さんのお兄さんだから家族」、「たまに会って遊んでもらうから」、「お年玉をもらうから家族」。お年玉がもらえる人間関係の範囲=家族という意見は子どもらしくて笑ってしまいました。

「となると、いとこはどう??」
ここで意見が分かれます。いとこは家族ではない、いや家族だ。。。
理由を聞いてみると、「いとこは年齢が近いから家族というより友だちって感じ」。
その一方で「血のつながりがあるから家族」。

いじわるなファシリはこの「血のつながり」について、
「ぼくが中学生くらいのころに気づいたのだけれど…家族は血がつながってるっていうけれど、おかあさんとおとうさんは、血がつながってないよね。どうして家族?」

すると当然「結婚してるから」と全員が反論。
「じゃあ結婚ってどうやったらできる?」と聞くと、「結婚式をあげる」、「なにか書類みたいのを出す」、照れながら「キスをする」なんて意見も。よく見ていますね。

あらためて、いろいろ意見が出たけれど、「じゃあ家族って?」と聞いてみると、
「つながりがある」、「世話をし、世話をされる関係」、「遺伝子」なんてまとめに。
ただ、みんながしっくりきたのは「世話」というキーワードでした。

さらに聞いてみます。「じゃあ、世話をしているペットは家族??」
またも意見が割れます。「言葉が話せないから家族ではない」、「世話をしているし、エサをあげると喜んでいるし、やりとりができるから家族」。
「じゃあ、犬や猫はよろこんでくれるかもしれないけれど、ザリガニは??」
すると、ザリガニを飼っている子どもから、「ザリガニは甲殻類だから家族じゃない」
一同、爆笑!!
「じゃあ犬や猫みたいにホニュウ類だと家族になるなら、クジラやイルカも世話ができたら家族???」
「いや、クジラやイルカは、尾びれと背びれがあるから違う!!」
さらに爆笑!!

と、こんなところで対話が終わりました。
普段接している家族、あらためてその家族に「誰(動物も含めて)が入るのか」、その輪郭を低学年の子どもたちは本当に真剣に考えていました。
日常世界の中で触れていることを想起しながらだと、考えること、は引きおこしやすいのかもしれませんね。


■みんなで打ち上げ
今回は全員で円になって打ち上げを行いました。いつもですとチーム毎で円になっていますが、今回は大きい円になりました。各チームの対話内容をシェアしたかったのですが、子ども達照れているようです。まあ、この辺りは仕方なしですね。
そして大人チームの方々にも感想を聞いてみると、「子どもたちが自分で考えた意見をいう機会に触れさせたい」、「考えを表現することを学んでほしい」、「先生や親以外の大人と真剣に話す機会があってほしい」など、この場に子どもたちを参加させた動機もうかがうことができました。
僕らも今後の運営に活用していきたいと思います。
子ども+大人での対話はじっくりした対話でした、このじっくりした対話をまた開ければと企んでいます。
                          記録者:池田、川上

0 件のコメント

Powered by Blogger.